ナンピンをシステムに取り入れてみました

さてそれでは、逆張りのフィルターから漏れてしまったシグナルを活用しようシリーズ(といっても今回で終わりですがw)、第2弾と言う事で、今回はボラタン改で考えてみました。

ボラタンは、相場全体が暴落の様相を呈した時に出て来て、下げすぎの反発上昇を狙う戦略で、取引回数は少ないですが、高い勝率と期待値が期待される戦略です。

まず、ボラタンのフィルター無し(上段)と有り(下段)の成績一覧表を下表に示したいと思います。

取引回数 保有日数 勝率 期待値 利益率 最大DD
905 3.57 66.96% 3.3 449% 776
376 3.19 78.99% 5.84 330% 612
フィルター無しでも、最大DDは高いですが、何とかなりそうな気がしなくもありません。ただしここには落とし穴があります。まず、フィルター外での取引だけを集めたのが下表です。
取引回数 保有日数 勝率 期待値 利益率 最大DD
624 3.74 62.02% 2.15 200% 796
最大DDがさらにあがり、つらい感じですが、それでも期待値は2を超えています。この勝率は逆張りとしては不満ですけどね。

ただ、先ほどの表と比べると何となく見えてきますが、フィルター有りとフィルター外の結果の合計が一番上のフィルター無しのデータになるはずなのに、そうはならず、成績は悪化しています。これは前のヒノボラの記事でも書きましたが、暴落が進行中の最初にフィルター外の仕掛けをしてしまっているため、いざフィルターONで勝率の高い仕掛けをしようにも資金余力が既になくなってしまってしまうのです。

よってフィルター外のシグナルも仕掛けたければ、フィルターONと同程度のパフォーマンスにまで仕上げる必要があるのです。これが前回ヒノボラでは出来ませんでした。ちなみにトラウ改でもできませんでした。

そこで今回は、「ボラタン改でヒットしたとして、それがさらに下落した時には、さらに買う」というナンピンの手法が通用しないか検証してみました。

具体的には、ボラタン改のルールをすべて1日前にして、当日終値が仕掛け値(=建値)を下回っていた場合にある一定の指値でナンピンを狙うというものです。

ここで当日安値が仕掛けを下回っていれば、仕掛けがヒットしたことになるのですが、安値で判断すると、終値がそれなり高く(=それなりに反発した)なっている可能性があり、そこからさらなる下落の始まりとなるのを警戒して、終値としました。

挙動としては、「仕掛け値で約定したが、反発らしい反発がないまま、さらに下落した」というものを想定しているわけですね。まずはナンピンの検証結果からです。
取引回数 保有日数 勝率 期待値 利益率 最大DD
316 3.05 79.43% 5.7 269% 448
フィルターを掛けていないにも関わらず、フィルターを掛けたボラタン改並みのパフォーマンスです。やはり逆張りのナンピンは効果があるようです。ちなみに順張りは効果が小さく危険なようです。お気をつけください。

これでフィルター外はナンピンだけ取引すれば良いということになると思いましたが、まだそれは早計でした。ボラタン改のフィルター外の時だけナンピンを実施した結果が下表です。
取引回数 保有日数 勝率 期待値 利益率 最大DD
151 3.35 67.55% 3.32 80% 520
やはりというか相当に下がってしまいました。フィルターON中のナンピンは非常に高いパフォーマンスを出すということも同時に表しています。ここで行き詰まりましたが、ここからさらに検討し、有る指標をフィルターとして導入することで、下表の結果になりました。
取引回数 保有日数 勝率 期待値 利益率 最大DD
99 3.23 72.73% 4.55 69% 307
どうにもこれ以上のパフォーマンスを確保するのは難しいようです。それでもこの数値なら捨てるのは勿体ない感じです。そこで、今度は資金管理を考えました。

まず一番期待の高いフィルターON時の ナンピンを先頭にしますが、投入資金を0.8倍、レバレッジ無しまで抑えました。続いて、フィルターOFF時のナンピンも同様に資金を抑えました。最後にフィルターON時のボラタン改は従来通りの資金設計(レバレッジ1.5)として計算させると以下のような結果となりました。
取引回数 保有日数 勝率 期待値 利益率 最大DD
469 3.18 78.89% 5.64 390% 564
今回の最終結果が上表です。考慮されているのは、これまでの表のボラタン改(正規版)と、フィルターOFF時のナンピン(ともにオレンジ色)のパフォーマンスの合計値にかなり近いということです。

正規のボラタン改の邪魔をしていないということですね。

複雑な事をしているように思われたかもしれませんが、従来のボラタン改はそのままに、シグナル数が少ない時もナンピン(実際にはその前に仕掛けていないので、ナンピンと言うより仕掛け条件を厳しくしたにすぎない訳ですが)で、ちょっと利益を上乗せできるようにしただけの事です。

さらに資金力があれば、暴落時のナンピンも加わった事で、さらに大きな利益を狙えることも分かりました。これは将来への布石となります。

同じ資金力では上昇したパフォーマンスはわずかですが、色々とこの戦略の癖も分かりました。戦略に対する理解も非常に大事な事だと思っているので、これも意味ありですね。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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7 thoughts on “ナンピンをシステムに取り入れてみました

  1. ham

    Sandさん、こんばんは。

    頑張っておられるようですね。
    システム作りは儲かる方法を見つけることと同等あるいはそれ以上にうまくいかない場合を見つけることも価値があると思っています。同時になぜそういう結果になるのかということを考えることも大切なことだと思います。これによりいろいろ応用することも出来ますから。
    Sandさんはどんどん進化されていると思います。お互い頑張っていきましょう。

    あと私の日々のトレードは運が90%ですよ。損失はある程度はコントロール出来ますが、利益のほうは完全に相場次第です。数年前にこれを実力と思い違いをして痛い目にあっています(笑)。

  2. Sand Post author

    hamさん、いつもコメントありがとうございます!
    確かに記事には(面白くないので)していませんが、最近は「上手くいかない事が分かった」という
    結果になることが非常に多くなりました。

    それでも戦略に対する理解はその都度深くなっていきますし、他のアイデアにつながることもありますから、価値ありですね。全然進化し切れてませんが、これからも頑張っていきます!

    運ですか(笑)。確かに過去の検証をもとに将来の取引をするわけですから、絶対はないですが、
    やはり運も実力のうちですよ。儲かっても運がよかったとか、相場の神様に恵まれたという気持ちを
    持つことは大事ですね。慢心する事なく改善する事になるわけですから(笑)

  3. リージン

    Sandさん、いつも参考になる記事をありがとうございます。
    シストレでナンピンを入れるとのアイデアに共感し、さっそく、私もいくつかトライしました。
    市販逆張りの改造品Aに1日ずらし、2日ずらし、3日ずらしで3つのナンピンシステムを
    つくりました。それぞれ単独では取引数は元のシステムの10%、15%、20%程度で少ないですが、
    期待値は高いものとなりました。元のシステムと併用すると利益は数割向上しました。
    ただ、もとのシステムがDDのときはナンピン側でもDDになるようで、さらに工夫が必要です。

    次に、自作逆張りBで、同様にナンピンシステムを作りました。しかし、こちらのケースでは
    ナンピン戦略の単独では取引数は少ないながら高期待値で良好なのに、元の戦略と併用運用すると、かえって元より利益が減る現象が出ました。取引一覧を詳細にチェックすると、ナンピン取引の前日にあるはずの元の取引が見当たらないことが大部分でした。
    これは、元の戦略のバックテスト(シグナル抽出)でのシグナル数>>最適分散投資(資産管理)での仕掛け数 となっているためのようです。 つまり、元の戦略の実際には仕掛けられていない取引のナンピンを一生懸命おこなっていたようです。(これでも利益が向上すれば良いとの考え方もありますが) 最適分散投資を通過した取引のみを指定するにはどうしたらよいでしょうか?
    Sandさんでは上記の問題はでませんでしたか? あるいは、何か回避する手段があるのでしょうか?
    いずれにせよ、大変、面白い考え方を教えてくださり、ありがとうございました。

  4. リージン

    上の投稿の後、さらに確認したところ、前者の改造品Aでもナンピンの対象の取引は見当たらないことが分かりました。つまり、最適分散投資(資産管理)で「重複保有禁止」としてカットされていたようです。最適分散投資を通すことで、本来のナンピン投資がカットされ、元のシステムが使用しなかったシグナル(優先順またはシグナルフィルター、相場フィルターでカットされたシグナル)を再利用して有効部分を選び出していたようです。 これは、これで意味のある戦略であると思いますが、元の戦略の「ナンピン」ではありません。
    最適分散投資を通すと、どうしても「重複保有禁止」に抵触してしまうようです。

    毎日、シグナルを見て、最適分散投資を通す前に、手で注文すれば可能でしょうが、イザナミで効果のバックテストができないので困っています。

  5. Sand Post author

    リージンさん
    始めまして、いつもお読み頂きありがとうございます。
    なかなかに難しいご質問で、かつ、私の理解が悪いので適切な回答が出来るかどうか分かりませんが、考えられる理由を書いてみたいと思います。ご参考になれば。
    ・ナンピンルールは全条件を1日前としていると思いますが、さらに、当日の安値もしくは終値が、元戦略の仕掛け値よりも低いというルールを追加していますか?
    ・単純に「同じ銘柄を重複して保有しない」のチェックを外す。
    ・シグナルフィルターをかけておられるようですが、(複数資金管理の)それぞれシグナルを計測する対象ルールを一元化していますか?私の場合は元のボラタン改で統一しています。
    ・複数資金管理の並び順が影響している可能性があります。(前の仕掛けを行わず、ナンピンだけを一生懸命行うのはちょっと?ですが)

    ちなみに私は問題なく仕掛けているようです。ボラタン改が仕掛けて、さらに大きく下落しているもは翌日ナンピン仕掛けが機能していますね(一例ですが、2013年2月18日カイオム(4583)がボラタンヒット、翌19日ナンピンヒット、翌20日もナンピンヒットしていました)。まぁすごいチャートに仕掛けているな~というのは置いといてください(苦笑)

  6. リージン

    たびたび、お騒がせしております。
    Sandさんのご指摘に従って再度見直しをしました。そのなかで、原因を発見しました。
    それは、複数資産管理での「追加仕掛け制限」の設定でした。
    デフォルトでは複数戦略全体で同一銘柄への追加仕掛けが禁止されておりますが(重複保有禁止の表示がでる)、上部のオプション設定タブで「保有している銘柄に追加で仕掛ける場合の最大を指定する」にチェックを入れ、
    個別の資金設定の画面で、ナンピン戦略のみ、新規に表れた追加仕掛け制限の項目に「同一銘柄は最大で2回まで仕掛ける」を設定すると、ナンピン仕掛けが可能になりました。

    私の早合点でSandさんには大変失礼しました。
    また、イザナミは良くできていますね。使えば使うほど良さが分かります。

    なお、もう少し、コメントに付き合ってください。上記でのナンピンが可能になった取引一覧を見てみると、ナンピン戦略の実取引のなかで本来のナンピン取引の比率が少ない点に気が付きます。つまり、ナンピンだけでなくシグナルの「二番絞り」が多いことです。 これは元の戦略とその優先順が優秀でナンピンをする必要が少ないのだからよい、そしてナンピン戦略は取引数は少ないながら高期待値であるのだからよしとするべきでしょうか。
    しかし、複数資産管理をパスした対象の戦略の1日前の取引のみ対象にナンピンすることはできないのか、いろいろイザナミを触っています。(対象の戦略全体をランキングにいれてしまうなど)
    良いお考えがあればお教えください。

  7. Sand Post author

    リージンさん
    毎度です。難しいご質問ですね。益々理解が難しく・・・汗
    元戦略とナンピン戦略を分けて資金管理されていると思いますが、その並び順番および、
    核戦略に対する資金の割り振りである程度制御できると思います。
    私はナンピン(フィルターON)⇒ナンピン(フィルターOFF)⇒ボラタン改(フィルターON)の
    準備資金設計を並べています。
    これはナンピン(フィルターON)の期待値がボラタン改より高いためですが、ここで1点注意
    するべきは、ナンピン戦略の「約定率」です。シグナルが多く約定率が低い戦略はそれだけで
    大きな資金を拘束されてしまうので、約定銘柄数が減少し、かえって利益を損ねる可能性が
    あると思います。
    ご参考になれば。

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