不動産の話の継続です。良い物件とはどのような物件かを深堀りしていきます。
不動産事業を行うためには、銀行からの融資が欠かせません。キャッシュで何千万円という物件を購入できる人はごくわずかでしょう。
という事はどんな良い物件であっても融資が付かない事には、意味がないという事になります。ここが利回りが高い事が一概に良いとは言えない難しいポイントです。
それでは銀行融資が付きやすい物件とはどんな物件でしょうか。
これは銀行の方針によって異なるので一概にはいえないものの、私が多くの銀行を回って得た経験から考えると、最も重要なのは「固定資産評価」だと思っています。
固定資産評価とはそのままですが、政府が出す評価額のことでこれに基づき固定資産税を払う必要があります。
固定資産評価は土地と建物に分かれます。
土地は基本的に大きな変動はありませんが、建物は経年とともにどんどん減少していきます。どんな収益性の高い物件であってもこの評価額が物件売買価格の6割よりも低いと融資は厳しいと言わざるを得ません。
例えば固定資産評価額が合計6000万円の物件だと融資が出ても最大1億円という事になります。それ以上の価格であれば、1億円以下まで指値(値引き)をする必要があると思います。
これはあくまで目安です。勿論評価額の割合が高いに越したことはありません。
ここでもう一つ重要になってくるのは、融資期間です。
融資期間は長く取れれば長いほど良いです。なぜなら長い期間の方が月々の返済金額が少なくて済むので、毎月得られるキャッシュが多くなるからです。
しかし基本的に銀行は、法定耐用年数以上の融資期間を超えての融資はなかなかしてくれません。
法定耐用年数は建物の構造により異なり、鉄筋コンクリート(RC)造りだと47年、重鉄骨造りだと34年、軽量鉄骨造りだと27年、木造は22年となっています。
例えば築15年の軽量鉄骨のアパートだと残りの耐用年数は12年という事なります。
これもざっくりですが、基準として以下のような感じで融資期間が取れれば良い感じです。
利回り9%⇒融資期間30年
利回り10.5%⇒融資期間25年
利回り12%⇒融資期間20年
このぐらいの利回りと融資期間で融資を取れればその物件が収益をもたらしてくれる可能性はかなり高いと思います。
しかし残念ながらネットで出てくるような物件でこのような条件を満たしている物件は極めて少ないです。出てきても1時間で買い付けが殺到するような感じになります。
ここでもし5000万円ぐらいで、とりあえず1棟で良いと考えるなら、属性次第では地方銀行や信金で無理やり少し眺めの融資期間で融資をしてくれるケースもあります。
ただし継続的に買っていきたいと考えるなら、融資期間を超えて融資をしてもらう場合は、耐用年数がゼロになった時の土地の評価と残債の評価がほぼ同じになっているような融資期間の設定にしていると、銀行側もやり易くなります。
例えば築20年の軽量鉄骨はあと7年しか残っていませんが、7年後の残債と(現在の)土地の評価額を比べてあまりに残債が多い場合は厳しいと思います。
この場合は売りたくてもなかなか売れないという事にもなりますので、購入は見送っておいた方が良いと思います。
残債と評価額が一致するようなお宝物件はなかなか市場には出てこない為、もっと川上からの情報を得る事が不可欠ではありますが、無いわけではありません。
その時に素早く判断できるようにすることは仲介会社の信頼を得る事なるので、ある程度は頭に入れておいた方が良いと思います。
不動産シリーズはいったんここで間を開けますが、また時間が取れたときにまとまって書こうと思います。