昨日はイギリスのメイ首相が総選挙の前倒しを発表してポンドは一時乱高下しました。
フランス大統領選挙が終わった後の欧州における重要なイベントとして6月のイギリス総選挙が位置する事になりました。
今回はイギリスのメイ首相とはどんな人物なのか、書いてみたいと思います。
メイ首相は昨年7月に前任のキャメロン首相の後をついでイギリス首相に就任しました。この時EUからの離脱を問う国民投票で離脱派が勝利するというニュースは世界を驚かせたのは、ご存じの通りです。
この流れを考えれば、メイ首相はEU離脱派であると思っていましたが、国民投票の段階では残留派だったのです。ただしもともと欧州懐疑主義であるとみられていた人物でした。
この辺、非常に微妙な立場をとっている政治家という感じです。
また自分の考えをあまり表明せず、政治家同士でのなれ合いが嫌いのようで、「氷の女王」と呼ばれているようです。
自分の考えを出さないって首相としてふさわしくないように思うのですが、勿論首相(保守党党首)に立候補した段階では様々な政策を提言しています。
EU離脱に関しては、人の行動の自由を制限する事、貿易などをEU諸国に要求するとのことです。難航が予想されますが。
さてメイ首相は母体である保守党の党首選挙に立候補したわけですが、他の候補者が次々と辞退したため、最終的には立候補が一人になり、選挙することなく党首に就任し首相になっています。
また国民投票の結果も互角だったように保守党の中でもEU残留派もいれば離脱派もいるという不安定な状態で微妙なバランスが要求される状況にあります。
おそらく政権運営に非常に苦労しているものと思われます。
そこで自分自身の求心力を高めるべく、今回の選挙を前倒して主導していく事を決めたのではないかと思います。
現在保守党の支持率は40%程度らしいですが、日本と同じく野党が非常に弱いらしく、今回の選挙では保守党が圧勝できるという算段があるものと思います。その後押しを受けて強い政権運営を目指しているものと思います。なんだか小泉さんの郵政選挙を思い出してしまいます。
この流れで考えると、選挙で保守党が大勝すればイギリスは一枚岩にまとまりEUに対して強い交渉を仕掛けてくる事が考えられます。
そうなるとポンドが強くなる事も予想され、現に昨日のメイ首相の発表後にポンドは上昇しています。
こうなるとポイントはやはりフランス大統領選挙の結果ではないかと思います。仮にEUからの離脱を主張するルペン候補が勝利するとイギリスと一緒に離脱してしまう可能性が高くなり、こうなるとEU連合は崩壊寸前ではないかと思います。
この流れもポンドを強くする要因になると思います。
ただ言うまでもなくFXはここまで単純ではなく、フランス大統領選挙の結果(4月23日の1次選挙、1次選挙で決まらず5月7日にたぶん行われるであろう決選投票の両方)だったり、メイ首相の発言、新しいフランス大統領の発言などで、ユーロにせよポンドにせよ乱高下してしまう可能性が予想されます。
これらの通貨を使ったFXはかなり神経を使うかもしれませんね。私はシステムにお任せトレードなので、あまりジタバタせず、シグナルに沿って対応しようと思っていますが、裁量で取引される方で、損切位置が浅い人は、乱高下の動きで急落損切り⇒その後すぐに反転というやりきれない取引が増加するリスクがあると思います。
言い換えるとボラティリティが高まると思われますが、そこをどのように対応するか、仕掛け数量を減らすのか、この間は「待つも相場」を決め込むのも手かもしれません。損切りポイントを深めに設定し直すなら、その分仕掛け金額を下げて、損切となった場合の損失金額をしっかり調整する事が必要かと思います。
損切りはトレードにおいて自分の損失額をコントロールできる数少ない方法なので、この部分は非常に重要だと思います。