暴落で「投げたそこが底だった」になる理由

先日の記事(カーブフィッティングになりにくいシステムの作り方(1)カーブフィッティングになりにくいシステムの作り方(2))で、逆張りは保有株を投げ売る人が多いところで、逆に買うように狙っていきたいという主旨でシステムを作っていると紹介しました。

本日の記事も非常に基本的な内容で、「そんなの知っているよ」と思われる方はスルーしていただければ良いのですが、なぜ投げ売りする人が多いポイントが(短期的でも)底になりやすいのでしょうか?

他にも「投げたそこが底だった」という経験をされた方は結構おられると思います。

ここで株式取引の本質をまずは書いておきます。銘柄の価格(=株価)は需給で決まります。初心者の方は、チャートが決めるとか、市場全体のお金の流れ、動向で決まるといった曖昧な表現で理解されている方もおられるかもしれませんが、株式は「同じ値段」で買い方と売り方が「同じ金額」にならないと成立しません。

具体的な数値を出して説明していきます。

株価が200円の銘柄があったとします。それが特に悪材料もなく急落して190円になりました。他のテクニカル指数は無視して概念だけご説明しますが、この時点ではまだ売りたい人も買いたい人もそれなりにいて、株価は拮抗している状況とします。

ところがさらに下落して180円になりました。190円ぐらいで押し目を狙った買った人は含み損が発生しています。ただ5%ぐらいの下落なので、まだ我慢できる状況です。

一方で、テクニカル的な指数が中途半端な位置だとすると、ここで短期反発を狙って買おうという人は少ないと思われます。

売る人も買う人も少ない状態になる可能性があります。

ところがさらに下落して170円まで下がってしまいました。190円で勝った人は10%以上の含み損であり、損切を考える人が多くなりそうです。

ここでプロと呼ばれる機関投資家は彼らが損切りするのを待ちます。相変わらず買い手がいません。先ほど書きましたように需給で言うと売り手ばかりの状況なので、株価はさらに下がります。

「もうどこまで下がるか分からない」とか「追証が発生してしまう」という恐怖に駆られた個人投資家は、楽になりたい一心で損切りをしてきます(これが投げ売りですね)。

それが160円~150円ぐらいであったとしますと、190円~200円ぐらいで普通に取引していた人からすると30%以上の損失であり、恐怖心を生み出すのに十分なレベルです。

さて、投げ売りが終わった時点を考えてみましょう。この時点で株価は150円程度。これより安く買っている人は、(この銘柄のトレンド次第ではありますが一般的に)ほとんどおらず、安くで買って長期で保有していた人が、ここで利益を確定しようという気分にはならないと思います。

投げ売り以外の人でこの時点で売りたい人っているでしょうか?この時点では売る人が非常に少なくなり、ついに需給バランスが反転するのです。

一方で、テクニカル的な指数は買いシグナルを出すレベルになっているでしょうし、ここまでまったくこの銘柄をトレードしていなかった人は、さすがにそろそろ反発するんじゃないかと思う人もいると思います。

売りたい人はいないのに、買いたい人が多く存在すれば、モノの値段が上がるのは必然で、株価も同じ現象となります。これが暴落銘柄の短期反発と呼ばれる現象ですね。

「投げたそこが底」はみんなが同じような恐怖心を持つから発生します。人間の恐怖心にはそれほど大きな個体差はないという事にもなりそうですが、実際には私たちの恐怖心を駆り立てようと機関投資家はマスメディアを駆使して煽ってきます。

「上海株暴落!2500円割れまで警戒!」(3000円割れの時に)なんて言い方をする訳です。「うわ~!まだまだ下がりそう。もう無理だ、今のうちに売っとこう…」と思う大衆が多ければ多いほど成功となります。すなわち恐怖心が最大になるときが底になりやすいという事になる訳ですね。

念のためもう一度書きます。

「チャートがこうなっているから上がるor下がる」これは間違いです。システムトレードをしているとそんな気分になってしまう方もいるかもしれませんが、チャートはその時々の需給バランスの結果で出来た指数にすぎません。明日の株価は明日の需給が決めるという事だと思います。

先日の記事では、「投げ売りをする人が多くなる」⇒「市場に売り手がいなくなる」⇒「買い手市場となり株価が上がる」という流れの真ん中を省略しているという事でした。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

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